(2021年12月)
診療報酬マイナス改定は許せない
理事長 井上 博之
来年4月の診療報酬改定をめぐって重要な時期にさしかかっています。とりわけ、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会での診療報酬に関する議論には注意が必要です。コロナ禍を経験して診療報酬の見直しをするのではなく、マイナス改定ありきの議論がされています。それにとどまらず、定額負担や薬剤負担の拡大まで求めるありさまです。患者負担増も狙っているのです。
これに対して、当会は「疲弊した医療提供体制を立て直す診療報酬改定を求める医師・歯科医師要請署名」に取り組んできました。そこでは、「国民に必要な医療を安定して供給するため、基本診療料と算定頻度の高い診療行為を中心に、診療報酬を10%以上引き上げること」や「患者窓口負担を軽減すること」を求めてきました。集まった署名は、全国の保険医協会が集めた分と一緒に、内閣総理大臣、厚生労働大臣、財務大臣へ提出します。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、各医療機関は苦境に立たされました。著しい患者減があり診療報酬収入が減少しました。一方、感染症対策のための費用負担は増大しました。だからと言って、患者さんに負担をかぶせてしまっては、受診抑制を招いてしまいます。同時に、窓口での負担を軽減する策を求めます。
真に安全で安心の医療が行えるよう、長年の低医療費政策を見直す診療報酬改定を求めます。医師・歯科医師や医療従事者が、その持てる力を発揮してがんばれる診療報酬をぜひ実現してほしいと思います。