2023年4月 理事長挨拶


(2023年4月)

改めて原発に頼らないエネルギー政策を

理事長 井上 博之

 世論調査によれば、原発を容認する人が増えているといいます。再稼働に賛成の方が、反対の方を初めて上回ったとのことです。でも、ちょっと待って。フクシマの記憶をよみがえらせましょう。
 東京電力福島第一原発事故により、たまり続けている放射能汚染水の海洋放出を、先行きの見通しもないまま、今年中にも始めようとしています。将来にわたり大きな影響を受ける、漁業者たちは納得していません。国際的な非難も必至です。事故を起こした原発の廃炉の展望もなく、放射能汚染水は増えるばかりです。それに対する有効な対策が示されているのに、政府はまともな検討もしていません。
 私たちの身近なところでは、東北電力女川原発2号機を来年2月には再稼働させるといいます。事故時の避難計画に実効性があるのか、石巻市民が裁判に訴えています。判決は5月24日の予定です。
 今日の世界情勢では、エネルギー源の確保のためには仕方がないという意見がでる余地はあるでしょう。本当は、いまこそ、もっと真剣に再生可能エネルギー(自然エネルギー)のことを考えてみるべき時なのではないでしょうか。より安全で未来に不安を残さないエネルギー政策を持つべきです。この点で、日本のエネルギー政策の遅れが指摘されています。
 世界では、すでに太陽光や風力などの自然エネルギーが、一番安い電源となっています。ロシアのウクライナ侵攻による、エネルギー危機の影響も受けません。化石燃料からの転換を加速することが求められています。気候危機への取り組みから見ても急ぐべきです。
 未来への責任が問われています。どのような地球を、そして宮城県を、次の世代へ継承するのか、真剣に検討するときです。
 宮城県保険医協会は、気候危機とエネルギー政策をとても大事な問題として、今後とも追求していきます。

 

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