決 議
コロナ禍と物価・光熱費の高騰が続く中、国民生活はますます困難を余儀なくされている。政府は、国民生活の困難打開やコロナ禍で露呈した脆弱な医療体制の充実に踏み出さないばかりか、75歳以上医療費窓口負担2割化に続き、後期高齢者の4割を狙い撃ちにした保険料引き上げなど、さらなる負担増・給付削減を迫っている。さらに政府は、2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、患者・国民には、マイナカード取得を事実上強制する方針を示すとともに、すべての医療機関にマイナ保険証を利用できるオンライン資格確認システムの整備を義務化した。国民生活や医療現場に混乱を持ち込む健康保険証の廃止とオンライン資格確認システム導入義務化は到底認められない。
その一方で、政府は昨年12月に安保3文書を閣議決定し、歴代政権が違憲としてきた敵基地攻撃能力を保有することや、2027年度までに年間防衛費を2倍化する方針を決めた。専守防衛を逸脱する戦後日本の外交・防衛政策の大転換とも言うべき事項を国民的議論や国会審議を経ず、一方的に閣議決定したことは見過ごすことができない。
本総会にあたり、医療の第一線を担う我々は、地域医療の充実を求め、広く人々と協力・協同し、下記の要求実現に向け取り組むことを決議する。
一、新型コロナウイルス感染症対策として、政府は国民生活の困難打開・健康確保及び医療機関
への経済的支援など、あらゆる手立てを講ずること。
一、だれでもどこでも安心して医療が受けられるよう医療費抑制策を改めること。75歳以上の2割負担化を中止し、患者窓口負担を引き下げること。
一、マイナンバーカードによるオンライン資格確認システム導入義務化と保険証廃止方針を撤回すること。
一、地域医療を守るため診療報酬を抜本的に引き上げるとともに、医科歯科格差をなくすこと。
一、宮城県立がんセンター、精神医療センターと仙台赤十字病院、東北労災病院との統合、移転構想は撤回すること。公的病院の再編・病床削減をやめ、保健所体制を強化するなどコロナ禍を教訓とした地域医療の拡充を図ること。
一、医療従事者の労働環境を改善・充実させる施策を講じること。公的責任で必要な医療従事者を養成・確保し、不足・偏在を解消すること。
一、医師、歯科医師の裁量権を尊重した審査、行政手続法に則った指導・監査とすること。
一、消費税を引下げ、医療にはゼロ税率を適用すること。インボイス制度は撤回すること。
一、東日本大震災を教訓とした大規模災害時の被災者の医療費免除や生活再建支援、民間を含む被災医療機関への公的支援等を制度化し、拡充すること。
一、女川原発をはじめとするすべての原発を廃炉とし、再生可能エネルギー政策へ抜本的に転換すること。東京電力福島第一原発事故によるALPS処理水の海洋放出はおこなわないこと。
一、防衛費の2倍化を中止し、社会保障費の拡充を図ること。
一、人命を守る医師、歯科医師の団体としてロシアのウクライナ武力侵攻に抗議し、外交、平和的解決を強く求めると共に、人権尊重、平和主義、民主主義に基づく日本国憲法を堅持すること。
2023年5月27日
宮城県保険医協会第53回定期総会