2015年7月 理事長挨拶


医療費削減攻勢の中、来年の診療報酬プラス改定を

理事長 井上博之

 国会の内外で、安保法案をめぐってかまびすしい。まるでその陰に隠れるようにして、5月27日に医療保険制度改革関連法が成立してしまった。充分に審議を尽くさずに決められた。マスコミなどでもあまり大きく取り上げられることもなく、さも既定の方針であるかのごとき扱いだった。
 「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりを目指す安倍政権は、まっしぐらに突き進んでいる。財政健全化路線における第一の課題は社会保障の削減だという。ここでも憲法25条などに真っ向から挑戦し、それらを無きものとしようとしている。安保法案の違憲性が問われているが、国民のいのちをめぐる条文に対しても、明白な憲法違反内閣だといえる。
昨年4月、消費税率を上げるときには「社会保障のため」と言った。ウソも方便とばかりに、今では矢継ぎ早に社会保障費削減にまい進している。法律が可決されたことで勢いづき、財政制度等審議会や経済財政諮問会議から出された提言には、大幅な歳出削減が打ち出された。
 さあ、抵抗を始めなければならない。悪い法律は通ったが詳細はまだ決まっていない。政省令での具体化はこれからである。全国の保険医協会をはじめ医療関係団体とともに医療運動を強めていくことが求められている。
厳しい情勢だが、こんな時こそ正論を対置していくことが大事だ。医療を再建し社会保障を充実させてこそ財政健全化につながることを主張していきたい。もちろん、医療再建のためには来年の診療報酬プラス改定が欠かせない。
 会員の皆さん。来年度予算案の決まる年末に向けて、みんなで運動を盛り上げていこうではありませんか。

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