2016年保団連公害視察会報告
9月17〜18日、全国保険医団体連合会が主催する中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の視察会に参加させていただききました。全国17協会・保団連から38名の参加がありました。
一日目は、浜岡原発訴訟弁護団事務局長の阿部浩基弁護士より、「浜岡原発永久停止訴訟と情勢」をテーマにした学習会がありました。阿部氏は講演の中で、今後想定される南海トラフ巨大地震の耐久性や、防波壁、住民避難計画など原発訴訟の争点になっている課題を説明。避難計画については、アメリカは避難計画を原発の審査に取り込んでいるにも関わらず、日本の新規性基準には取り込まれていない点や、県内の広域避難計画に関しては、UPZ(人口90万人以上)避難の受け入れ先が決定したという段階であり実効性は無いと強調しました。
また、講師は再稼働反対の世論形成が重要であり、周辺自治体の市長、首長の意見を支え、県知事に「反対」と言わせることが大切だと述べました。
二日目は、浜岡原子力館を視察しました。バスでの移動中、林克氏(県評議長・日本から原発をなくす静岡県連絡会代表)と岡村哲志氏(原発住民運動静岡連絡会事務局長)の説明がありました。
浜岡原子力館は、家族連れで賑わっていました。中部電力スタッフより、館内と展望台から浜岡原発敷地内や防波壁、海水取水管等の説明がありました。その後、浜岡原発の問題点について、岡村氏と林氏より説明がありました。岡村氏は、中部電力は防波壁や配管の補充については熱心に説明するが、肝心の格納容器については補強が一切されていない。耐久性に関する実験は進めてられていないこと等を指摘しました。
昼食後、御前崎市のなぶら館で交流会がおこなわれました。午前中に浜岡原子力館の案内をしてくれた林氏と岡村氏の他、清水澄夫氏(浜岡原発の危険から住民を守る会、御前崎市議会議員)より、浜岡原発反対運動について報告がありました。
今回の視察会を通じて、過酷事故が起きた際、浜岡原発からの避難手段は30km圏内に新幹線、鉄道、飛行機、国道、高速道路がありますが、福島原発事故並の事故が起きれば、全ての交通機関は機能しなくなることが危惧され、30km圏内の人口94.6万人が避難できる現実的、具体的な策を考え、実施することは困難だと強く感じました。中部電力は「福島原発のような事故を起こさないように一生懸命努力している」と防波壁での津波対策を強調しています。しかし、福島原発の事故の全貌は未だ明らかにされていない状況下で、教訓を活かすことなど不可能ではないかと思いました。
(文責:宮城県保険医協会事務局 槇)