宮城県保険医協会
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県政を問う 第3回「放射能汚染ゴミ問題の迷走」
Posted on
2017年10月10日
by
adminhok
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県政を問う 第3回
「放射能汚染ゴミ問題の迷走」
放射能汚染廃棄物『一斉焼却』に反対する宮城県民連絡会共同代表、徳島大学名誉教授 中嶋 信
福島原発事故に伴う放射能汚染農業系廃棄物(放射能汚染ゴミ)が大量に発生した。危険物処分の目途は不明だ。宮城県知事は汚染レベルの低い放射能汚染ゴミを一般ごみと一緒に焼却しろと言う。燃やしても放射能は消えない。地域の大気・土壌・地下水の汚染は必至だ。住民が長期間にわたり低線量被ばくを被るおそれがある。作業従事者はそれ以上の危険にさらされる。これは環境省の方針に基づくが、有害無益な選択だ。放射性物質は生活圏から「隔離保管」が鉄則である。にもかかわらず、説明を端折って希釈拡散へと誘導する。当然、住民の批判は高まり、各市町村は迷走中だ。
地方自治法第1条の2は、県や市町村の役割を次のように定める。「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」。最優先課題は住民福祉である。市町村行政は憲法25条が掲げる健康で文化的な生活を保障する最前線に位置する。だから、安全を損ねる焼却を認めるのはおかしい。さらに、市町村などの行政は自主的に実施するのが基本だ。これを政府→県→市町村と締め付けるのは「団体自治」の基本ルールに違反している。二重の過ちだ。現場からの反発は起こるべくして起きている。
大事故で放射性物質の取り締まり法規の不備が明らかになった。そこで2011年に緊急対策を強権的に講ずる特別措置法を制定した。国が基本方針を作り、地方公共団体に協力を求める構図だ。上述の混乱はその特措法の構造欠陥が招いた。欠陥含みは衆知で、制定時に3年後の改正を予定していた。日本弁護士連合会は、特措法の速やかな廃止を求めている。住民福祉の最優先・住民主権の尊重を軸として地方行政を前進させるために、地方自治の現場から、法改正を強く要請すべきだ。だが、宮城県民にとり不幸なことに、県知事はその資質に欠ける。ならば、交代を求めよう。
宮城保険医新聞9・15(1632)号掲載
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