新型コロナウイルス感染症が在宅診療に及ぼした影響に関するアンケート結果について
2020年10月6日
宮城県保険医協会
地域医療部会
2020年8月6~24日、当会は当会会員(1612名)に対し「新型コロナウイルス感染症が在宅診療に及ぼした影響に関するアンケート」を実施し、116名から回答が寄せられました(回収率7.2%)。以下、「寄せられた意見」は訪問診療している・していないを問わず、寄せられた意見から一部抜粋したものを掲載していますが、それ以外のデータは、訪問診療している会員のアンケート集計結果です。
回答者の約半数が訪問診療しており、訪問診療先はほとんどが自宅や施設でした。事前の患者の体調確認方法は、介護スタッフや同居家族等から連絡をしてもらったり、医療機関側から確認する方法が大半でした。「訪問診療している」と回答したうち97%が何らかの感染防止対策をとっており、具体的な対策は「マスクをつけて診療」「手袋をつけて診療」「ゴーグル又はフェイスシールドをつけて診療」の順でした。

その次は「訪問回数を減らした」で、その理由としては「患家や施設等からの申し出により減らした」が最も多く、訪問回数を減らした患者に症状の変化や影響があったと回答したのは31.8%でした。具体的な影響としては「口腔内の状況悪化」「認知度の低下」が寄せられました。患者が発熱していたり、新型コロナウイルス感染症を疑う状態の場合は、「診療は避け、体調が良くなってから診療する」「問診を中心に診療する」「他医受診を勧めた」等の対応をしたとの意見が寄せられました。
再度の流行に対し、訪問診療するうえで必要な対策としては、マスクやゴーグル、フェイスシールド等を着用しての診療に加え、手指消毒の励行、PCR検査がスムーズにできるような体制づくり等の意見が、国や行政に対する要望としては、PCR検査が受けやすい体制づくり、感染防護具の供給や感染対策費用の補助等の意見が多く寄せられました。
【寄せられた意見(一部抜粋)】
- 十分な消毒用品、ゴーグル、マスク、ガウンや職員の定期的PCR検査ができればと思う。
- PCRを含めて抗原検査が、現場でリアルタイムでできる体制整備を、早急に!(インフルエンザキットと同様に)。
- 医療スタッフへの更なる支援、備品の充実・品不足の解消。
- しっかりした感染対策をと思うと補助金100万円では正直足りない。感染対策で現場が疲弊しており、秋〜冬がとても心配である。国としてどう考えているのか…。
- 当院の減収は、令和2年1月以降現在まで1000万円を超えています。どこの医療機関にも助成金を出してほしいと思います。
- 医療を守るということは、患者さんを守り、医療スタッフを守ることと考えます。歯科はアポイント制が多いため、当院では受診制限を続けながら感染対策を行い、収入が減った分、ボーナスを十分出せないなど、スタッフに多くの負担をさせてしまっているのが現状です。コロナ対策にも口腔ケアは必須と考えて日々頑張っていますが、どこまで頑張れるか、先が見えません。医療従事者が、希望すればスムーズにPCR検査が受けられて、仮に陽性でもその後の生活の保障が得られるようにすることで、安心して仕事ができるよう、離職することのないように、支援をお願いしたいと思います。